研究概要 |
本年度は、無作為抽出によって全国47都道府県から収集された約60,000人の全国初潮調査の資料を用い小学5年生から中学3年生の初潮と性的同一性に関わる分析を実施し、平均初潮年齢、来潮の学年分布、地域差など初潮年齢の各種分析を実施した。初潮年齢の新たな低年齢化傾向、また小学校3年生までに来潮する早熟傾向のものの存在や逆に中学3年終了時にも来潮していない晩熟傾向のものの存在も明らかになった。これらの生理的早熟・晩熟と女性の心理的発達とが関連していることが示唆された。 心理面の分析については、早熟傾向のものの女性性の非受容傾向・性的同一性の否定傾向が明らかになった。また、満月齢による分析で満14歳前後で女性性の受容傾向が一旦低下することから、中学2年の秋くらいに女性性の受容に関わる発達的転換点が存在することなどを明らかにした。都市・郡部、都道府県などの地域差等についても分析中である。 平成7年度の新資料として愛媛、福井、徳島の3県下の3大学における女子短大生・専攻科学生・院生の初潮と性的同一性に関わる資料を収集した。また大阪府1大学において男子と女子の性的同一性に関わる資料を収集した。これらの青年期資料において小中学生の時期では確認された早熟・晩熟の影響の分析中である。またエゴグラム・テスト(TEG)を用いて、女子青年期における初潮の時期、性の受容・性的同一性と自我傾向を中心とした性格との関連も分析中である。 平均初潮年齢から見て女子の性的発達における顕著な早熟傾向が示された沖縄県宮古島地区において健康資料として小中学生の身体発達に関わる資料を収集し性的発達との関連を分析中である。
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