研究概要 |
本年度は、全国調査の資料及び,新資料により以下の研究分析を行った。 国内地域差の研究においては、性的な発達において顕著な地域差が確認された。特に、沖縄県の女子児童・生徒においては、性成熟、性意識の発達において国内において特異な傾向を示すことを分析した。沖縄県においては、著しく低年齢で性成熟を迎える一方、自らの性の受容も著しく低いことが判明した。 早熟群・晩熟群の分析においては、誕生の月によって、初潮月齢が異なる傾向が分析された。早生まれの児童・生徒は相対的に早熟傾向を示すことが分析された。また誕生の月には来潮する率が高い傾向が見られ、思春期における心身相関に関する結果も見られた。女子大学生に対する、性成熟の早遅の後続影響を分析した。現時点では、生理的性成熟の早遅の影響は大学生段階では消失する可能性が高いと考えられる。 平成7年度の大阪大学入学の学生2663名対象に、性の受容と進学決定過程及び入学の満足度を調査した。性の受容は入学時の満足度と関連しており、自らの性に満足していないものは大学入学の満足度も低い傾向が見られた。性の受容が青年期発達全体に影響を与えていることが確認された。思春期においては、身体面の発達が心理的発達に影響する。しかし青年期中期以降になると、その身体的発達の影響は小さくなり、性に対する心理的適応の度合いが青年期発達により影響を及ぼすと考えられる。
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