研究概要 |
平成6年度は、現時点で直接資料を収集することのできない歴史性を考慮した大衆社会化現象の発生の過程とその社会心理的事実を実証的に検討するための方法的検討として伝記的資料の利用の可能性を検討したが、平成7年度はそれを受けて以下の研究を行なった。 (1)大衆社会化現象の発生の歴史的、時代的事実を記述することを目的として、1945年以降のわが国の研究論文の中から青少年の自己開示対象についての資料、価値観についての諸資料を含む研究を収集し、その結果の時代的、年代的変遷に如何なる規則的変化が見られるか、また、変化の様相にどのような型が見られるかの資料の再分析。 (2)60歳代以上の男女に自分史の記述を求め、本人の認知から見た自己の人生の転機に関わる人間関係の社会的、心理的特性についての資料の収集。 (3)明治以降の企業の役員経験者の自伝を収集し、これらの人々の結婚、就職、昇進、転職等に関わった人間関係の社会的、心理的特性の記述を抜き書きし、本人の認知から見て重要な意味をもった他者の血縁、地縁、閨閥、学閥などの時代的、年代的変遷の粗資料の収集。 以上を基本的な資料として、研究代表者の理論的枠組(永田,1990, 1995)に基づく実証と理論の精緻化を試みた。
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