実験1 祖母、母親、および母、子(孫)の情動調律(affectional attenuate)の相互情動性について実験を行なった。22組の三世代(祖母、母、子(孫))同居家族を対象とした。各世帯の母親、祖母、子(孫)に対し実験室でロールシャッハテストを施行し、その評定の客観的測度から三者の情動(感情)の調律が取れたのかどうかを三者間ならびに母と子、祖母と孫、母と祖母について行動分析を行なった。このほか、子(孫)の同じ標本を対象に美的感情の抱き方についても検討した。結果は三世代家族においても、祖母が実母であるか姑であるかによって、祖母のアドバイスに対する母親の反応が異なることを示した。 実験2 本研究は情動調律の問題をさらに深く検討した。情動調律とは個人と個人の間の情動的な調律がされていることをいう。この問題を、二世代家族と三世代同居家族の子どもを対象にして、幼児および乳児の泣き声や笑い声に対する反応を調べることを通じて検討した。被験児は二世代家族の子ども17名(男児9名、女児8名)、三世代家族の子ども12名(男児5名、女児7名)であった。年齢範囲は4歳5ヶ月-6歳3ヶ月であった。幼児の泣き、幼児の笑い、乳児の泣き、乳児の笑いの4種類の音声刺激を、実験室のスピーカーから流し、その際の子どもの反応を調べた。結果は、三世代家族の女児は、刺激が泣き声の場合にはなだめる反応が多く、二世代家族の女児は、とくに幼児の声に対しては話しかけ反応が少なかった。
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