研究概要 |
MMPI新日本版(1993:三京房)の標準化データからLOGISTによって項目反応理論(2パラメタ・ロジスティックモデル)の困難度と識別力を推定した。これらのパラメタを組み込んだ適応形MMPIを使用し、健常者50名で予備的実験を実施した。現在,結果の分析中であるが,尺度PaとPdにおいて適応形MMPIと完全版との間に等価性があまり保たれていなかった。 さて,項目反応理論のパラメタ推定法もLOGISTより有用なものが近年多く開発されてきた。本研究でも,BILOG3によるパラメタ推定を新たに実施し,LOGISTによるものとの比較をおこなった。その結果を現在検討中であり, BILOG3によって推定されたパラメタの方が実用的であるならは,コンピュータ化適応形MMPIのソフトに組み込むパラメタを入れ替える予定である。また,現在パソコンが急速にWindows中心になってきており,この予備的実験に使用したコンピュータ化適応形MMPIのソフトを,早急にWindows対応にする必要があるので,移植作業をしているところである。以上の2点から,等価性を検討する実験は中断せざるを得ない状況にあるが,これらが解決しだい実験を再開する予定である。 また,MMPIに限らず、人格検査の短縮版を作成する目的は、人格の構造を知るなどの基礎研究への利用ではなく、スクリーニングや臨床診断などの応用場面での労力の軽減にあると考えるなら、臨床群と正常群の弁別に大きな役割を果たしている是認率に偏りのある項目は、1次元性に欠けるという理由で、短縮版から削除してしまうことはできない。この1次元性を要求する項目反応理論に基づく適応形MMPIにかわって,この1次元性を必要としないカウントダウン法に基づく適応形MMPIも必要である。このソフトの開発(Windows対応)に着手した。
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