首都圏の小中学校教師対象のアンケート調査を前年末に実施したが、その集計分析を今年度行い、教師文化がこの社会と学校の中で、いかなる意味で自律性をもち、また公共的なものとの通路を確保し得るのかを、最近のオートポイエシス理論を視点にして検討した。この成果は秋の学会で報告した。 埼玉県の退職教員名簿からランダムにサンプリングして、千名余にアンケートを発送し、570名ほど回収した。その中からさらに35名を選んでインタビュー調査を行い、28名に会って話をきくことができた。ここからは戦中、戦後55年間の日本の教育制度、小・中学校の制度の変化の中で、教師たちが学校をどう体験し、どのように悩み、また支えられてきたのか、が浮かび上った。とくに、その世代的変化と時代的変化の重なりがあって、教師たちの世界がしだいにせばめられていく姿がそこに見えている。 両調査の分析とも、まだ課題を残し、特にインタビュー調査の結果は十分検討し切れていないが、二つのアンケート調査結果について、この調査に協力してくれた人達とともに、報告冊子を作成した。
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