研究概要 |
現代日本の選挙過程のメカニズムに関する研究は,有権者の政治意識・投票行動と、候補者の集票行動の関係を統合的に解明することを課題としているが、この課題を実証的に研究するためには、現状を正確に把握するデ-を収集することが不可欠である。 しかしながら、従来の選挙に関する調査の多くは全国規模のものであり、各地域の実態をインテンシブに研究する上で制約がある。逆に、特定の地域に関する調査だけでは、選挙過程の全体を明らかにする上で部分的で十分なものではない。 本研究は、選挙データの集積の重要性に鑑み、各地域の特性と全国的な選挙の構造を関連的に解明するデータの収集に努めた。そのため、全国の各選挙管理委員会等の実施してきた調査データを可能な限り収集し、これらのデータを突き合わせて、各地域及び全国規模の選挙過程の研究に資するデータ・バンクを作成した。 収集したデータは、都府県168件、政令指定都市76件、県庁所在都市36件、東京都区部18件、その他の都市74件に達した。また、年齢別の投票状況に関する資料94件を収集した。 本報告書では、第一に、これらのデータを整理・分析したデータの一覧を収集した。なお、データの収集は今後も引き続き実施する予定である。第二に、理論的研究として、無党派属の動向の観点から、投票行動と集票行動の関連について検討した研究成果を収録した。無党派層の増大は従来の選挙過程の研究の理論モデルでは説明できない要素を含んでいることが注目される。
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