研究課題/領域番号 |
06610174
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
高橋 和宏 東京都立大学, 人文学部, 教授 (40117718)
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研究分担者 |
大西 康雄 山梨県立女子短期大学, 生活科学科, 助教授 (40223896)
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キーワード | ネットワーク / 知識構造 / カタストロフィ / 改編過程 / 社会学的カタストロフ理論 / 実存的コーピング / 概念構造ネットワーク |
研究概要 |
理論的成果は、類似の議論を社会的行為理論に従い精査することによって、カタストロフィックな社会現象の、新たに本質的な理解に到達したことである。つまり、社会学的カタストロフを定式化できたのである。社会学的カタストロフの理論で分析される資料は、前年度に収集されていた、学生による社会学の小レポート(三度、書き直されたもの)を元に描かれた概念構造ネットワークに対して、ネットワーク図法の一層良く呑み込めた本年度に学生に若干、丁寧な再構成を施してもらった修正資料が主である。 1.社会学的カタストロフは、一次の社会的行為システムを構成する行為間の連関特性によって生起しやすかったりそうでなかったりする。諸々の行為は、(1)対外的-対内的、(2)実勢的-基礎的、(3)判断的-経験的、の三軸を組み合わせて今回作成した修正吉田モデルのなかに定位し、行為相互の遠近の位置関係の如何に依存して位相転換が惹起するのだ、と定式化できた。社会学的タカストロフ理論は修正吉田モデルを含む。 仮説「カスプ型カタストロフにおいては、選択状態としての行為が経験A、分裂要因としての行為が経験I、平常要因としての行為が判断A、というのが典型である。」 2.概念構造ネットワークに対し社会学的カタストロフ理論を適用するとき、従来の知識構造の改編過程への洞察としての、実存的コーピングという発想に代表される、非合理性・自己準拠・周辺起動・矛盾改編、を生かしうるか、が問題だった。クリアしたと思う。仮説「カスプ型カタストロフを概念構造ネットワークの改編過程に適用した場合、選択状態としての行為が知識統合、分裂要因としての行為が知識制序、平常要因としての行為が知識巡索、となる。」これを概念構造ネットワークの社会学的カタストロフ理論という。 3.この理論に従い上記資料を分析し、仮説の妥当な感触をえた。
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