理論については、1.カタストロフィックな社会現象の新たに本質的な理解を求め、社会的行為論の修正との相互交渉の中で社会学的カタストロフ仮説を構成し、2.それを、内的な行為理論としての概念構造論へと適用して概念構造の改編過程仮説を定式化し、3.それに基づき概念構造ネットワーク仮説を構築した。社会学的カタストロフの概念構造ネットワーク理論の萌芽を主張したい。資料は、実験状況下において学生による社会学の三段階小レポートを元に描かれた概念構造ネットワークに対し、その後改善されたネットワーク変換図法に従って再構成を施したものである。最終仮説の検討結果は良好であった。 1.社会学的カタストロフ仮説によると、諸行為は、(1)対外的-対内的、(2)実勢的-基礎的、(3)判断的-経験的、の三軸空間に定位し、カタストロフは、一次の社会的行為システムを構成する行為間の位置の遠近関係で生起しやすかったりする、と考えられる。 仮説1「カスプ型においては、選択状態としての行為が経験A、分裂要因としての行為が経験I、平常要因としての行為が判断A、というのが典型である。」 2.概念構造論への社会学的カタストロフ仮説の導入で、未決の実存的コーピングを支える、非合理性・自己準拠・周辺起動・矛盾改編、のロジックを繰り込んだ概念構造の改編過程仮説が成立した。 仮説2「カスプ型においては、選択状態としての行為が知識統合、分裂要因としての行為が知識制序、平常要因としての行為が知識巡索、となる。」 3.概念構造ネットワーク仮説が最後仮説である。 仮説3「概念構造ネットワークの樹木は、豊かな枝葉への成長、太い樹幹への成長、両者の対向的相補性の中で、改編コースの飛翔を指向しつつ、循環形成し高く成長する。」
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