初年度に当たっての調査としては、韓国人学生に対する学生生活全般と健康に関する調査を行い、留学生の生活背景の基礎的な資料を得た。質問項目としては、学生生活における学業・交友関係のストレス、外国人としての私生活のストレス、経済的な側面での現状等を中心にした項目を揚げて、自記式の自由回答法で回答を得た。この結果より、学業上の日本人学生の就学態度に対する批判的態度や私生活上の文化的差異に対する戸惑いや不安が大きいことが指摘された。逆に日本人学生との交流におけるストレスは以外に少ない傾向が観察された。しかし、自由回答法による主観的要素が強いため、今後多数サンプルの調査と日本人学生への調査データの客観的比較をしながらこれらの傾向を実証的データとして裏付けられるかが研究テーマの根幹となりうる。また大学生といっても留学生の年齢の方が日本人学生より若干高齢であり、比較対象の年齢差をどのように処理していくかを勘案する必要性があり対象者選定に工夫がいることが指摘された。さらに調査票の質問文において言語(外国語と日本語)差によるニュアンスの違いを埋めるために、外国語専門スタッフの協力の重要性が指摘された。 これらをふまえて、特に現代青年のストレスと対処行動および健康との関連性について明らかにしていくために、THIやGHQ(General Health Questionaire)を用いた客観的なストレス尺度から社会的不安を検出し、調査規模を拡大し多変数との関連性について多角的に考察していく予定である。
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