研究概要 |
前年度に介護支援センター等でヒヤリングを実施した,「ケースマネジメント」の試行を意図した相談援助事例について,その効果と限界について検討した結果,現実のサービス供給量がきわめて不十分な状態で,在宅生活の質は著しく低位にとどまり,さらに専門職の配置数が2〜3名という実態のもとで,「ケースマネジメント」を意図したとしても,実態はサービスの一部をコーディネイトしているというに過ぎないことが明らかにされた。すなわち,サービスの提供による援助効果の観察や必要に応じた再評価などは行われていないため,継続的ケアの質を維持することに問題がある。 そこで,これらの事例について現行供給サービスの基準を上回る必要なサービスを提供するものとして,望ましいケアプランの作成を試みた。さらにこれらのケアプランの供給を可能にする地域ケアシステムのあり方について検討することにより,英国の「国民保険サービスとコミュニティケア法」施工後の高齢者ケアに及ぼす効果との比較,分析を意図した。 英国の状況については,地方自治体の責任でケアマネージメントの実施体制が整備されつつあるが,改革の中心である民間部門の供給するサービスを購入する契約システムについては,実施後の日が浅いという事情からも,まだ十分に把握することは困難で,その影響をふまえて比較するには至らないが,わが国の介護保険にともなうケアマネジメント構想に対し,英国の場合いは地方自治体の責任による包括的な地域ケアシステムであることの意義と効果を明らかにし,本研究のとりまとめを行うことにした。
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