研究課題/領域番号 |
06610187
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
吉原 功 明治学院大学, 社会学部, 教授 (60062171)
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研究分担者 |
小川 葉子 明治学院大学, 社会学部・附属研究所, 研究員
加藤 秀一 明治学院大学, 社会学部, 助教授 (00247149)
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キーワード | 情報化 / 国際化 / ジェンダー / エコロジー / コミュニケーション / 都市と農村の架橋 |
研究概要 |
十勝地方の情報化は、中央行政・地方行政の政策に呼応して進められているが、主導したのは十勝農協連である。その主眼は農業の近代化、合理化、集中化、管理化をすすめることによって国際化という厳しい状況に対応しようとするものである。それ故ここでの情報化は農民の生活活動に直結しているという点で画期的といえるだろう。とりわけ畜産関連での成果が大きいとみられる。畑作ではしかし単位農協の取り組みに濃淡があり生産活動そのものをドラスティックに変えるには至っていない。しかし情報化が地域の人間関係、農家世帯における女性の位置や役割に微妙な変化をもたらし、その変容を推進していることは指摘できよう。コミュニケーションの観点からみて重要だと思われるのは次の4点である。(1)十勝毎日新聞グループの存在。同グループの地域メディア(新聞、CATV,FMラジオ)は、農業情報化の推進役の一翼を担いながら、それによる地域社会・文化の変容に注目したジャーナリズム活動を展開している。(2)十勝地方の文化的伝統としての住民のコミュニケーション活動。その典型は市民1000人が参加してという十勝百科事典作成運動である。(3)住民コミュニケーション活動は当然のことながら様々なベクトルをもっているが、本研究の視角からとくに注目されるのは、パソコン通信を通じた農業生産者と都市消費者の架橋の試みである。生産のプロセスやそれをとりまく状況と農産物購入の現実にたいする相互認識を深めることによって国際化に対処しつつ新たな人間関係を形成しようとする試みである。(4)十勝農民は世界の動向に極めて高い関心を持っており、ときとして北海道の動向よりも自らの生活に関係があるという意識をもっていることが調査で浮かび上がってきたこと。これら4点は十勝の情報化をいかに捉えるかという課題に重要な手がかりを与えてくれるだろう。
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