研究概要 |
1.現地調査を3回実施し,計画目標を越える,のべ40人以上の対象者にインタヴュー調査を行った。 2.この実地調査では,(1)農協と「農業を守る会」の対抗関係にあける「戦後農業第三世代,39才以下」の農業経営者としての新しい世代形成,(2)対象地の伝統産業としての「鋳物工場」を参与観察し,その労働者層の老令化,女性化の問題と若年労働者不足問題,(3)「第三世代」の農業経営に対する積極層と消極層の人生設計,(4)「戦後農業第一世代,65才以上」と「戦後農業第二世代,40才〜64才」の農業者としての生活史などを調査した。 3.「第三世代」を積極層と消極層に区分して調査することにより,(1)農業後継者としての自己形成の特殊な困難性,(2)フルタイマー的な賃労働者化により生起する農業者的立場性との深刻な矛値と,自己形成の遅延化ないし離反化の問題を明らかにし,(3)「第二世代」と「第三世代」の対抗的両極化が進み,「第三世代」に日本農業の現状と将来に関する差異的認識が生成していることを発見した。
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