1.1975年以後の工業化政策と第二種兼業農家の共依存性の問題、小高工業高校卒業生の活用を目的にした中規模工場の導入政策の経過を解明した。 2.伝統的鋳物工場のケース研究を継続して行ない、第一次大戦から今日までの農村工業の近代化、技術革新と農村的工業労働力の関係性についての知見を得た。 3.第二種兼業農家の相対的安定性が1975年以後の学習者層(第三世代農民)の農民的自己形成を困難にしていた事態について分析し、そのなかから、「第三世代農民の積極層」を抽出し、そのケース研究を行った。 4.農村の新しい世代形成において、その「積極層」の不十分性、不安定性を補完する要素として、都市で自己形成し、都市的な生活様式と生活要求をもつ「農村移住者」層の独自な文化的存在意義を発見して、その事例について研究した。 5.日本農業の国際化による危機の進行から、従来型の「担い手」形成がますます困難化している。そのために、「担い手」問題についての「発想の転換」が必要になっている。長子相続制を廃止する問題がそのために検討されつつあるが、しかしより積極的には、農民的生産活動の変革と都市的生活様式の目的意識的導入のさらなる統一が必要である。
|