日本農業の近代化と国際化により、農業経営が長期的危機のなかにあり、家族経営の社会的再生産が困難になっている事態について、(1)農林工業化による「第二程兼業農家」の増大と定着化の新しい矛盾的構造の発達、(2)農業担い手の「第三世代」の「積極層」の極端な減少と農民的自己意識の変容とに焦点づけて研究した。農民「第三世代」の農民意識が「第一世代」「第二世代」から著しく差異化していること、彼らは「第二世代」の近代化路線、とりわけ「機械化と化学化」による農業経営の拡大方針について否定的に評価していること、彼らはむしろ自然農法、有機農業に強い関心を抱いていて、その関連で都市的な生活様式と生活価値を摂取していることなどを明らかにした。農民「第三世代」の大量の「消極層」と少数の「積極層」の容観的な相互依存性を比較研究して、両者の新しい関係性の構築が日本農業の今後にとって必要である。
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