金山町では、この数年来、過疎化、高齢化に一層拍車が掛かり、高齢者のみの世帯がさらに増加しており、高齢者に対する保健、医療、交通、福祉などの社会サービスの整備とともに、高齢期家族の再生が急務であり、そのことに住民の大きな期待が寄せられていることが分かった。 高齢者家族の変動については、住民基本台帳を基にした高齢者のみの世帯の異動を中心にした動態分析の結果、他出した子供の所への移住(“呼び寄せられ")が、かなり見られるほか、区長(集落の自治会長)へのヒアリングによって、短期あるいは短期の町外移住の実態が明らかになった。それは主として、高齢者自身の長期療養や冬季間の生活の安全のために子供世帯に寄留するものであるが、子供世帯の家事、育児や軽度な仕事の手伝いなどの理由もみられた。 また、本年度の主要な課題であった残された高齢者の生活の実態と他出子との交流についての訪問面接調査は152ケース完了した。この中でも、お盆や正月だけでなく、高齢者の側に対する子供の病気見舞い、援農(農作業の手伝い)、家屋の維持管理(修繕や防雪)、子供世帯に対する高齢者の家事、育児援助など、対面交流が頻繁に行われており、高齢者世帯と他出子との情緒的依存関係だけではなく、広く修正拡大家族としての機能が働いていることがわかった。 今後は、他出子の定年退職後に帰郷の可能性について、他出子の側から、その意向、条件、時期などを調査することによって、子供の帰郷による高齢2世代家族の再生の方向が明らかになると考える。
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