研究課題/領域番号 |
06610209
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
岡本 多喜子 東海大学, 教養学部・生活学科・生活経済学課程, 助教授 (20142648)
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研究分担者 |
岡村 清子 (財)東京都老人総合研究所, 社会学部門, 研究員 (70150878)
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キーワード | 高齢者 / 住宅提供サービス / シルバ-ハウジング / 軽費老人ホーム / ケアハウス / 職員 / ワ-デン |
研究概要 |
本研究で明らかになった点は、軽費老人ホームB型、ケアハウスと、シルバ-ハウジングのどの形態の住居に入居している高齢者でも、その場所に最後までいたいという希望は多くみられたことである。しかし、軽費老人ホームB型とシルバ-ハウジングでは、介護サービスを必要とすると退去を求められることが多く、一般の在宅高齢者が利用できる在宅福祉サービスすら利用できないこともあった。しかし個々の入居者の生活を尊重しているのはケアハウスよりは軽費老人ホームB型とシルバ-ハウジングであった。 居住環境では、シルバ-ハウジングは居室のなかの生活は整っているが買物などに不便な場所であったり、ワ-デンがいないために入居者の不安が高い場合もみられた。軽費老人ホームB型は自立が可能であることが前提であるために、設備的にも問題があった。配慮されていたのはケアハウスであり、利用者の評判もよかった。これは施設が新しいということともかかわっている。 シルバ-ハウジングのワ-デンは他の施設の職員と比較しても悩み、不安が最も高く、ワ-デンは「よき隣人」意識のみで行える仕事ではないといえる。そのために高齢者福祉等の専門知識が必要であると考えている者もいる。また入居者との関係は行政担当者、ワ-デンの個人的な努力によって変化していくことが明らかにされたが、それはそれぞれが職務として期待されている内容以上のことであった。 今回の研究全体を通じ、制度の柔軟な対応がなされていなことが、高齢者やそこで働く職員へのしわ寄せとなっていること、必ずしも専門資格を持っていなくとも利用者との信頼関係が作られている場合があることなどから、高齢者の立場にたった政策の実施の必要を強く感じた。
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