高齢者向けの住宅提供サービス事業として、シルバ-ハウジングに関わる行政担当職員への聞き取り調査と数量的な調査、軽費老人ホームB型、ケアハウス利用者および職員およびシルバ-ハウジングのワ-デンと利用者に対しても聞き取り調査と数量的な調査を実施した。そのなかで明らかになった主要な点は、シルバ-ハウジングの位置づけが自治体によって異なること、その結果として提供される福祉サービスの内容や範囲が自治体によって、または担当するワ-デンによって異なることである。それは、シルバ-ハウジングを一般住宅の一部に付設して運営する場合と、建物の全体がシルバ-ハウジングとして建設されている場合との違いとしてもみられる。またシルバ-ハウジング利用者も軽費老人ホーム利用者も現在の住居に住み続け、出来れば終末もそこで迎えたいと願っていること、施設の職員と同様にワ-デンも専門性の必要を感じていることなども明らかになった。 シルバ-ハウジングの現状はその設立を積極的に推進している東京都と他の自治体とで大きく異なっている。それは福祉サービスの提供を前提としてデイサービスセンターなどの近くに住宅を設置する東京都と、健康で自立している高齢者向け住宅として位置づけている地区との違いともいえる。しかし実際に、要介護状態になったときに各種の在宅福祉サービス等を利用して継続してシルバ-ハウジングに住み続けられるかどうかは、各自治体の姿勢にかかっている。またワ-デンの仕事を利用者や他の一般住民が理解しないことによる人間関係の問題も生じている。 高齢者向けの住宅と福祉サービスの連携は今後ますます深まることが予測されるが、利用者の要望に必ずしも添った形態にはなっていない。利用者にとって生活を最後まで保障する住宅に近づける努力が必要であることを一連の調査結果は示している。
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