研究概要 |
高卒就職者の職業選択と所属学科との関連をインテンシヴに分析するために、岩手県地域雇用開発協議会が1990年度に行った「高校生の進路に関するアンケート調査」(有効回収数18,643、回収率92.1%)を、所属学科別に再集計した。そこから得られる主な知見をいくつか列記する。 1.高卒就職者が最初から「専門的・技術的職業」に就くことは希なのだが、当の高卒就職者は自分の選んだ職種は「専門的・技術的職業」だと「認識」する傾向が強い。それは特に職業科、就中工業科で顕著である。 2.就職予定者の決定職種と希望職種との一致度は、男子54.0%、女子47.4%であり、男子の方が「希望職種」に就いている割合が高い。学科別では、男子の場合、工業科は56.9%と高いが、普通科は51.3%ともっとも低く、農業科の51.6%がそれに次ぐ。一方、女子の場合は、商業科が53.2%と過半を占め高いが、他は平均を下回る。ただし、その中では普通科の46.7%は商業科に次ぐものであり、他方、家政科の43.2%は低い方に位置する。 3.就職予定者の希望職種は、男子全学科の場合、「製造業技能工等」と「専門・技術職」が共に4分の1強を占めるが、決定職種と正反双方に大きな開差をみせる。その中で工業科の「専門・技術職」はほぼ均衡している。また女子全学科の場合、「事務職員」と「専門・技術職」が共に4分の1強を占め、やはり決定職種と正反双方に大きな開差をみせるが、同時に「製造業技能工等」においても希望はわずか4.0%であり、決定14.2%との開差は大きい。女子の場合も、人数は少ないが工業科での「専門・技術職」の希望・決定の接近がみられる。 その他多くの知見が得られたが、それらをとりまとめて「高卒就職予定者の所属学科と希望職種・決定職種--岩手県における事例研究--」として印刷した。
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