平成6年度は、ジェーン・アダムズおよび彼女のセツルメント事業に関する先行研究を検索・検討するとともに、アダムズ本人の論著およびハル・ハウスの事業の記録に、可能な限りあたった。その成果の一端は、拙稿「あるポーランド系ユダヤ人女性におけるジェーン・アダムズの思想と行動の受容」、『秋田大学教育学研究-改革と教育戸田金一教授退官記念号-』、秋田大学教育学部教育学研究室(平成7年2月)、113-136頁、に示した。 平成7年度は、世紀転換期に至るアダムズの思想形成およびハル・ハウスの事業に関する研究をほり下げた。その成果は、教育史学会第39回大会(1995年0月9日、於、新潟大学教育学部)において、「ジェーン・アダムズにとってセツルメント事業とは何か-『社会学の実験室』としてのセツルメント論批判を手がかりに-」と題して発表した。 平成8年度は、研究成果報告書の作成に向けて、先行研究の整理を拙稿「ジェーン・アダムズ研究序説」、教育思想研究会編『教育と教育思想第17集』(1997年3月)、83-104頁、に示した。これに加えて、アダムズのセツルメント論および事業を、当時のシカゴ大学におけるアルビオン・W・スモ-ルの社会学研究および社会学教育、ジョン・デューイの教育学研究および実験学校での教育実践、とそれぞれ対比して検討し、その意義を明らかにした。その成果は、日本デューイ学会第40回研究大会の課題研究(1996年10月13日、於、大東文化大学板橋校舎)において、「デューイ哲学と異文化共生の思想-シカゴ社会学派およびジェーン・アダムズの移民観との対比において-」と題する発表に示した。
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