1.調査協力三校の二・三年生の教科選択行動に関する個人データを作成し、また、ビデオ機器による選択教科制のガイダンス場面および各授業場面を収録し、その分析を行った。 2.得られた知見は、性別、進路志望別ならびに学業成績別によって生徒の教科選択行動に一定の差異が確認できたことであって、これらの差異が当該学校の選択制カリキュラムの枠組とどう関係しているか、その統制様式を現在、分析中である。現時点で得られた結果からみれば、当初の理論仮説の検証まで至っていないけれども、生徒の個人データより類型化して抽出した代表サンプル別の分析を進めている。 3.その結果、授業場面への生徒の関与の仕方が教科選択行動と一定の相関関係を示していること、また、選択教科制に関する事前指導の方法が生徒の教科選択行動を規制していることなどが、判明しつつある。 4.本年度の調査結果が、来年度の研究計画に示唆する点はつぎのことである。 (1)選択教科の授業内容と、生徒のカリキュラムへの適応行動との関係に注目すること。 (2)生徒の通塾状況に関するデータの収集が必要なこと。 (3)選択制カリキュラムの枠組に関する海外を含む文献資料の分析を試みること。
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