職業高校における「専門教育の内容と将来の職業生活の対応関係がますます希薄になっていく」という指摘がなされている。なかでも農業高校がかかえている問題の解明のため、文部省統計で把えられていない小学科毎の卒業者の進路、職業選択と教育内容、入学者の性格等を分析すべく学校単位の実態調査を計画した。 調査対象はここ20年間の生徒数の動向から全国平均減少率31%に対し、減少率が51%と高い新潟県、8%と低い静岡県、平均を若干上回る宮城県の3県である。何れにおいても農業高校教育の改善に積極的にとりくんでいるが、農業がおかれている厳しい現状との関係で自営者養成関連学科と生活関連学科は入学希望者が減少しており、一部では総合選択制職業高校や総合学科への転換・改編がみられる。 われわれは3県の高校並びに農業高校について県教育委員会、県立図書館等で基礎資料の収集と聴取調査を行い、農業高校の現状と問題点を中心に位置づけた。その上で宮城県の加美農業高等学校、伊具高等学校、新潟県立新発田農業高等学校、加茂農林高等学校、静岡県立静岡農業高等学校、引佐高等学校で実態調査を行い、昭和45年度以降の応募状況、保護者の職業、教育課程、教育内容、卒業後の進路等の把握につとめた。さらに可能な範囲で「生徒の進路決定についてのアンケート調査」を実施し、各校の教育的営為とその効果について検討した。なかでも全国的な動きとしてみられる「産業技術科」としての一括募集、2、3年次のコース制の導入が模索されていることは注目すべきであろう。
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