職業高校における「専門教育の内容と将来の職業生活の対応関係がますます希薄になっていく」という指摘がなされている。なかでも農業高校がかかえている問題の解明のため、学校単位の実態調査を行った。調査対象は宮城県加賀美農業高校、同県伊具高校、新潟県加茂農林高校、同県新発田農業高校で、昭和45年度以降の応募状況、保護者の職業、教育過程・教育内容、卒業後の進路等の把握につとめた。 (1)生徒の出身地は学校所在地とその周辺市町村であるが、学校の特性から全県下もある。(2)保護者の職業は学校や学科の性格によって異なるが、自営者養成関係学科においても農家子弟の減少が目立ち、会社員など多様な家庭の子弟が入学している。(3)高校進学、卒業後の進路を考える際多くの生徒は親を中心に家族と相談し、教師とも相談している。友達との相談も注目すべきである。(4)農業高校に入学した理由で最も高い比率の項目は「自分の成績に見合って」である。(5)現在の学校、学科が第一志望であったかでは一応現在を肯定しているが、他方で否定的、消極的な対応があり、(4)と併せてみると不本意入学の側面がうかがえる。(6)生徒の学校生活への満足度は高いが学科によって違いがある。(7)学校生活や家庭生活で楽しい面は圧倒的多数が友達とのつきあいをあげていることは全国調査と一致している。その他学校生活で実習、専門科目をあげている。(8)自営者養成関係学科の卒業生の進路で、自営より就職への逆転現象が起こるのは昭和50年頃である。45年からの減反政策等の影響が大きい。60年代以降専門学校を含む進学が増加している。(9)生活科は当初より自営に入る者は少なかった。(10)学習指導要領の改訂に併せて県・各農業高校の教育過程が改善されているが、生徒の急激な減少もあって、コース制の導入、総合学科への改変等今までにない再編成が進めれられてる。
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