平成7年度の研究によって得られた新しい知見は、以下の通りである。 1 欧州連合(EU=European Union)の職業教育・訓練に関する政策 (1)欧州委員会(European Commission)は、「成長、競争力、雇用-21世紀に向けての挑戦と進路-」(1994年)と題する白書の中で、欧州連合の国際競争力を強化するためには、職業教育・訓練制度も新しい国際環境に適応させることが必要なこと、そのためには欧州連合のレベルで、次の3つのことを行なうべきことを提言している。 1)教育・訓練にヨーロッパ的次元を一層強化すること。 教育・訓練の質を向上させるために、加盟各国での優れた実践や情報についての交流を深め、共同プロジェクトを開発し、職業資格の透明性(transparency)や相互承認を促進し、教育・訓練にかかわる教師、学生、その他の人々の相互交流を促進する。 2)継続的な教育・訓練及びそのための教育・訓練クレジット(ヴァウチャー)の施策と労働時間のフレキシブル化と短縮の施策とを結びつける中長期的措置を講じるための政治的フレームワークをつくり上げること。 3)職業教育・訓練に関する施策や政策にとっての基本的要請と長期的目的を明確にすること。「ヨーロッパ教育年」を設けるのも一案である。 2 イギリスの対応 (1)イギリスのウェールズ合同教育委員会(WJEC)は、1992年以来、スペイン、フランス、ドイツとの間に、ヨーロッパにおける職業資格比較への新しい共同プロジェクトを発足させた。 (2)これは自動車工業の分野における地域レベルでの職業能力、技能等の比較である。
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