1.研究者養成の将来予測 将来の研究者の需給予測は、平成5年度科研費『研究者の養成と確保に関する研究』(代表・潮木守一・名古屋大学教授)において実施されているが、経済的環境の著しい変化、大学院の急激な拡大などの変化がみられるので、昨今の大学院生の進学、就職状況、経済状況等を反映させる形で、改めて将来における研究者の需給予測を行った。推計の骨子は以下のとおり。 今回の研究者需給予測は、18歳人口減少局面での予測、景気の先行き不透明な環境の下での予測のために、全体として見通しは不透明である。高等教育機関進学率が2000年に45.2%まで上昇し、大学院修士過程の進学率が2000年に1991年の2倍になり、博士過程進学率が(工学、保健分野を除く)現状のまま推移するとすれば、2010年の博士過程卒業者数は1991年の3.2倍に拡大する。博士過程卒の研究者供給は今後大幅に増加する可能性が非常に大きい。 大学等教員の博士卒研究者需要は2000年以降の高等教育機関進学率の推移に大きく依存する。また、民間企業の博士卒需要が拡大するか否かによっても博士卒研究者需要は大きく左右される。2000年以降の高等教育機関入学者数が2000年の水準を維持し、民間企業の博士卒需要が拡大しても、予想される博士卒研究者供給の拡大の結果、博士卒研究者は供給超過に陥る可能性が高い。ただし、博士過程卒研究者供給がまったく拡大せず、現状程度にとどまれば、民間企業の博士卒需要が拡大した場合に、理工系分野では供給不足が発生する。 2.研究成果のとりまとめ 昨年度および今年度の研究成果について報告書にとりまとめた。
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