旧制高校生をキャンパス文化である「教養」(主義)との関係で類型設定した。類型析出のひとつの軸は教養主義への「同調」と「内面化」(同一化)である。教養主義に同調することは必ずしも内面化(同一化)をともなうわけではない。方便として同調される場合もあるからこの区別がなされた。もうひとつの軸は、「積極的「と「消極的」である。このふたつの軸を組み合わせ四つの人間類型ができる。しかし教養主義への同調は消極的であるが、内面化は積極的であるという類型は考えにくい。したがって、ありうる人間類型はIつまり教養主義に積極的に同調し、同一化する「教養人型」である。IIは、教養主義への同調と内面化が消極的である類型である。「蛮カラ型」である。IIIは教養主義に同調しても内面化が弱かった「テクノクラート型」である。教養主義に同調しながらも、教養知識人のような内面化がよわい。教養を知のアクセサリーとして手段的に利用していく。日本の組織(官庁や会社)においては、「教養」が排除と選別の十分な文化資本にならなかったから、類型Iではなく、類型II(企業)や類型III(官庁)が支配エリートとなっていった。日本の学歴貴族の教養とのかかわりが「類似教養主義」をいわれる点について解明した。
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