本研究は、日常の文化的慣習行動をさまざまな時間的(社会的時間、文化的時間、生物的時間等)な配分の観点から再定義する作業のために、関西の諸都市(京都市、長岡京市、川西市、大津市)の社会教育関係施設における参加者に対して、余暇活動に関するアンケート調査の結果の分析と考察を行ったものである。また、この調査と並行しながら、英国、フランスの自由時間と成人教育との関係について、公共政策や性別分業の観点から研究を行った。 調査結果からは、余暇活動の実践にあたって、年齢差が影響している場合、男女差が影響している場合あるいはどちらとも言えない場合、また、高齢男性と若齢女性が同じパターンを示す場合など、3種のヴァリエーションのパターンがあることが見て取れた。また同じ高齢者であっても、女性に特有な自由時間の活動内容と男性の自由時間の活動内容には顕著な差があることも分かった。就労、非就労を問わず高齢者の平日、土曜日、日曜日の男女別時間配分からは、いずれの場合も男性の家事の時間は女性のそれに比べて圧倒的に短いことも分かった。 性別役割分業が過去十数年の間に根底的な変化を被らなかったことは、フランスの各種調査においても、確かめられている。そのことを反映するように余暇に対する性別役割分業も全体に大きな変化はみられない。また、英国では公費抑制政策の影響もあって国家の趣味・教養への支援が弱まっている。余暇活動が私企業の手にゆだねられることによって引き起こされる不平等も指摘された。
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