研究概要 |
1.幼稚園の4,5歳児学級の自由遊び場面の観察、VTR収録、記述の分析によって、幼児期の「人とかかわる力」の問題点を抽出した.幼児の「友達とかかわる力」と「課題にとりくむ力」は密接に関わっている.友達関係がうまく行きはじめると、遊びや課題に集中できることがわかった. 専門的知識提供者として、幼稚園長および経験年数13年以上の幼稚園教師からのヒアリングを行った.そこで、幼稚園では、「いじめ」や「問題行動」というほどはっきりした事例ではないが、「将来、人とかかわる力に不安を抱かせるような子ども」が、学級に数人いて、近年このような「友達とのかかわりが、どこかおかしい子」が急速に増えていることが指摘された.このことは、新幼稚園教育要領のもとで、幼児の自発的活動である遊びを中心に行う指導がなされるようになったため、幼児のありのままの友達とかかわる姿が顕在化したためと思われる. 2.親の人間関係や子育てに関する調査. 「将来、『人とかかわる力』に問題が生じると思われる幼児」「将来、他人の痛みを理解できるか不安を抱かせる幼児」について観ると、親の子育てに問題があったり、親自身が人間関係で悩んでいたりする場合が多いことが指摘された.幼児の「人とかかわる力」は、幼児と関わる大人達(親、教師、近隣の大人等)の問題である.そこで、幼児を子育て中の若い親の「人間関係」と「子育て」に関する調査書を作成し、公私立幼稚園に子どもを通わせている親(母親)を対象に調査を実施した.同じ内容の調査を、比較対照のため、子どもを保育園に預け、働いている母親にも実施した.この調査は、幼児を子育て中の親の社会的ネットワーク,将来の人生設計,子ども時代の遊び・喧嘩の体験,子育ての態度(おけいこごとも含む)等について調査しており、まだ集計の途中であるが、子どもの「人とかかわる力」との関連が出そうである.
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