本研究の目的は、「口承の教育」の実効性の検証にある。すなわち、カンやコツの獲得を主体とした芸能の伝承内容(教授内容)が「口承の教育」によってどの程度正確に伝えられているのか、正確に伝えられているとすればそれは何故なのかを明らかにすることである。このためには最低限2年間の記録を比較対照する必要があり、平成6年度・7年度にわたって研究を進めた。その成果は平成7年度(平成8年3月)の「研究成果報告書」にまとめている。 1芸能の成立に関する検討 各地を代表する芸能(下記)の成立に関する歴史的研究。特に兵庫県社町上鴨川神社の神事芸能を中心に考察を進めた。 ・奈良豆比古神社の翁舞 ・兵庫県社町上鴨川住吉神社の神事舞 ・山形県櫛引神社の黒川能 ・和歌山県那智勝浦町の田楽 ・静岡県水窪町西浦の田楽 ・新潟県の佐渡の春駒 2各地を代表する芸能の調査及び記録 (1)各地の芸能のビデオ収録。 (2)動作解析のためのビデオ収録は定点観測、キャリブレーションなど最低4〜6人の撮影者が必要となり、また研究補助者への旅費・謝金も不足したため、上記すべての芸能の動作解析ができなかった。このため、社町上鴨川神社の神事芸能のみが動作解析用のビデオ収録となった。
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