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1995 年度 実績報告書

アメリカ合衆国における年齢主義進級制度の普及と能力の個人差への対応に関する史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 06610237
研究機関兵庫教育大学

研究代表者

宮本 健市郎  兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50229887)

キーワード年齢主義進級制 / 落第 / 進級 / 学年 / 個別化 / 進歩主義教育 / アメリカ合衆国
研究概要

本研究は、20世紀前半のアメリカ合衆国において普及した年齢主義の進級制度の根拠を究明することを第一の課題とし、年齢主義進級制度によって拡大したはずの学級内での能力の個人差に対してどのような教育実践が行われていたのか具体的に明らかにすることを第二の課題としていた。年齢主義が普及した背景としては、第一に、社会全体が時間と年齢に従って秩序づけられていったこと、第二に、教育の能率化を求める運動が進んでいたことをあげることができる。これらは、直接的には、落第を減らすことによって、教育の経費を削減し、教室内の秩序を維持し、教師の負担を減らすことを目的とした。落第が生徒の学力向上に役立たないばかりでなく、子供の発達に悪影響を与えるという心理学的研究は落第削減を正当化する根拠となった。1920年代から1930年代にかけて、進級が課題主義から年齢主義に変化したとき、グレイド、ニーズ、個人、の概念に根本的な転換があった。グレイドは、学業達成の成果ではなくなり、生徒の全体的発達を促進するための手段となった。ニーズは、特定の能力の欠如の意味よりも、生徒の欲求や性向の意味が強調された。個人の発達は、学力水準というような他人によって決められた特定の基準ではかられるべきではなく、多様な側面を持ちつつも、自立的な意志を持った、全体的人間と考えられ、連続性の保障が課題と考えられるようになった。このような変化は、社会的成熟という概念に集約され、それが全員が年齢に従って進級することの理論的根拠となったのである。このような概念の転換に対応して、カリキュラムは生徒のニーズに応ずるように多様化され、生徒の社会的、情緒的、身体的な発達を重要な目的とするようになった。社会的成熟の考え方に基づいて、同年齢集団の教育的意義を強調する活動が重視された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 宮本健市郎: "年齢主義進級制の実践と理論(2)-年齢主義の根拠" 兵庫教育大学研究紀要第1分冊. 15. 25-34 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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