1、歴史的研究:実施研究は大きく3つに区分される。第一は、障害児の後期中等教育進学に関する歴史的研究である。戦後教育改革期における制度理念(米国教育使節団報告書及び学校教育法の制定)は、6→3→3制の接続した学校教育体系の一環として障害児にも後期中等教育を保障することであった。具体的には、盲・聾・養護学校に高等部を開設するとともに、希望者全入制の高等学校にも特殊学級が設置しうることとした。盲・聾学校は戦前の中等部の蓄積の上に戦後直ちに高等部が開設され、進学保障にも熱心であり、今日ではほぼ希望者全入を採り100%に近い進学率となっている。これに対して、養護学校は1979年度の義務化以降になって高等部の整備が進められており、毎年2〜3ポイント上昇させて約80%の進学率に達している。さらに教育的統合の思潮の広がりを受けて、今後は高等学校への特殊学級の設置なども必要になることが推測された。 2、都道府県研究:第二は、都道府県研究である。まず、都道府県別の高等部入学者選抜の実態を明らかにするために、入試要項・学校要覧・受験者合格者実数等の調査を行った。盲・聾学校に関しては、重複障害者には学力検査を課さない等の方法によって高等部本科までは実質的に希望者全入制を採るところが多く、専門教育は専攻科ないし高等教育機関で行う時代に至りつつあった。養護学校高等部に関して希望者全入制を採る都府県と選抜制を採る道県で進学格差が大きかったが、いずれも共通して生徒の教育的ニーズの多様化問題を抱えていた。次に実施した公立高校入試における「障害者受験特別措置」の調査は現在時点で集計分析中である。 3、個別生徒研究:第三は、個別生徒研究である。初年度は追跡対象者のリストアップを進めるに留まっており、調査の本実施は2年次の平成7年度において集中的に行う計画である。
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