本年度の研究実施計画に基づき、次のような研究を行った。 1.米国における学校効果研究、学校改善研究及び学校の組織文化研究の理論的.実証的研究のレビューを行ない、本研究の枠組み、仮設、調査票の設計等を行なうとともに、本研究の理論の精経文化を試みた。 2.新しい学習指導要領(とくに、新学力観を中心に)の完全実施後3年を経過する現時点において、新しい教育観が学校の組織文化変革にどのような影響を及ぼし、そのプロセスにおいて管理職がどうかかわっているのか、に焦点を当てた調査を実施した。郵送料の値上げが予定外であったが、全国の公立小学校を母集団とするランダム・サンプリングの結果必要最小限の小学校数を370校と同定、回収率を50%と踏んで、約1000校の小学校長、教務担当教輸を中心とした調査である。 3.上記の調査結果は、二年次の平成7年度で詳細な考察を加えるが、つぎのような結果を得た。(1)新しい学習指導要領の線に沿って学校改善は速やかに行なわれており、約8割は教師の理解を得た対応が見られた。しかしながら、(2)新しい教育理念の学校教育目標や経営方針への導入に比較し、教師個々人の授業実践においては未だ統一的でない学校が大半を占めていた。(3)管理職は新しい理念の実現に向けたリーダーシップを発揮しているが、教育委員会の「研修」内容の不十分さを指摘する声が多かった。 4.調査に加えて、現実の様相を知るため、すぐれた実践校を訪問観察しつつある。
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