平成7年度の研究目的は、平成6年度に行った調査研究の成果を緻密に分析し「研究報告書」を作成することであった。そこで以下のように研究を進めた。 本研究は、理論編と調査編に分けられる。理論編では組織文化研究の動向をレビューするとともに、学校の組織文化変革の実践モデルを組織開発プログラムに求め、その概要を考察した。さらに、学校における創造性の視点と教師の発達という視点から学校組織文化の変革を検討した。理論編の最後としては、インタビュー等の結果を踏まえながら「新学習指導要領」を受けて、学校が改善していく際の教師の認識面の変化、それを促進する「反省的実践者」としての教師モデルに考察を加えた。 調査編では、上記の理論ともかかわるが、学校改善と校長のリーダーシップとの関連、新学習指導要領に基づく教育実践の具体的な変化と効果、新たな教育実践に関する教師の対応の様態、及び、学校や教師への新学力観が定着するプロセスの把握と、そのプロセスにおいて果す管理職のリーダーシップとの関連などについて、理論を実証する形で調査結果を統計的に整理した。学校管理者が「教育」について深い洞察力と強いリーダーシップを示す学校においては、新学習指導要領の趣旨がよく理解され、組織としての文化として定着している様子が読み取れた。このことは、管理職は常に法的事項に基づいたり、基準に従って学校を管理する人ではなく、教育のリーダーであることを示唆するものである。 なお、「研究報告書」は相当にボリュームのあるものとなったが、校長の果たす文化変革的リーダーシップの考察は、数量化できない部分も多く、今後の研究課題として残されたものも少なくない。
|