(1)研究代表者のもとに既に収集済みの『人民日報』、『光明日報』、『中国教育報』、『中国高等教育』、『教育研究』など、中国で発行される新聞および教育専門誌の中から学生援助や奨学問題に関する論文、論説、記事を広く収集、翻訳し、整理・分類して、検討を行った。 (2)関連資料、とくに新聞、雑誌のバック・ナンバーなど、本研究に必要でありながら従来欠けていた諸資料を国会図書館東洋文庫、アジア経済研究所、中国研究所などにおいて、マイクロ・フィルムおよび電子コピーとして網羅的に調査・収集を行った。 (3)以上の活動を通じて得られた情報をもとにして、まず中華人民共和国建国時における「人民助学金」の導入事情に関する研究をすすめ、建国に先立つ国民党政権下および共産党支配地域における学生援助の慣行について検討し、それらと現行の奨学方法との連続性・非連続性を明らかにすることに努めた。 (4)さらに、計画経済体制下での大学生に対する奨学方法の形成と定着の過程を実証し、近年の市場経済体制への移行に伴って生じてきた奨学方法上の変容状況を明らかにし、その成果を「中国における人民助学金制度の定着過程」と題する論文にまとめるとともに、訳書『中国の高等教育改革』の本代表者による解説部分でも部分的に言及した。
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