テレビ漫画は動く画像と音像とを結合させた映像であるだけに子どもにとっては具体的・迫真的であり、その影響は他のメディアの比ではない。だが、その影響は受け手である子どものタイプによって異なるだろう。そこで本研究では、子どもを社会的特性によってタイプ化し、それぞれのタイプの子どものテレビ漫画への接触頻度、選択するテレビ漫画のタイプ、テレビ漫画に対する反応(影響)を明らかにしようとした。そのために第1段階の質問紙調査、第2段階の面接法による事例調査という2段階の調査を考えた。今年度は小学生および中学生を対象に質問紙調査を実施した。対象地は大都市の影響を受けない地方都市で、かつ日本社会の平均的な産業構成を示している都市とし、大分県H市を選定した。このH市の小学校8校の4年生412名、6年生470名と中学校2校の2年生315名の合計1197名を調査対象とした。ごく大まかな傾向の一部を見ると以下のような諸点がある。 1.子どものテレビ漫画の選択範囲は、一般に漫画本に比すると相当に幅が広く、多様化している。 2.子どもは好きなテレビ漫画番組はだけではなく、嫌いなテレビ漫画番組をも視聴している。嫌いなテレビ漫画番組は「ながら視聴」である。漫画本には、こうした傾向は見られない。 3.漫画本をよく読んでいる子どもほどテレビ漫画の接触も高い。また逆にテレビ漫画への接触頻度が高い子どもほど漫画本をよく読んでいる、つまり漫画本とテレビ漫画とは相乗的な関係にある。 4.テレビ漫画への接触頻度が高い子どもほど、テレビ漫画の世界へののめり込みが大きく、テレビ漫画の登場人物への同一化が強い。
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