本研究は、子どものテレビ漫画視聴態度とそうした態度に対する保護者の認知の実態を分析することが目的である。調査の結果、見い出された主要な諸事実は以下のようである。 (1)テレビ漫画をよく見る子どもほど漫画雑誌・漫画本をもよく見ており、したがって子どもたちの間で漫画メディアへの接触が多重化している傾向がある。そしてテレビ漫画への接触が多い子どもほど仲間とテレビ漫画についての情報を交換している。 (2)子どもたちのテレビ漫画の選択理由は、年齢とともに絵とか登場人物の表情というような形式的な側面からストーリー性という内容的な側面へと変化している。 (3)低学年の子どもほど、また多接触型の子どもほどテレビ漫画の世界に同一化する傾向が見られる。 (4)子どものテレビ漫画視聴に対して父親は母親よりも許容的であり、母親は父親よりも子どものテレビ視聴を強く規制している。しかも子どもは親が規制いていると思っているほどに強く規制を感じていない。 (5)親自身も多くがテレビ漫画を視聴しているが、そのきっかけは子どもが見ていたからであり、いわば偶然的な視聴理由である。だがテレビ漫画は子どもとの共通の話題になるし、また子どもと一緒に視聴することで一家団欒を得られると親は思っている。ところが実際には親子間でテレビ漫画が話題になることは多くない。 (6)親はテレビ漫画が子どもに対して「言葉使いのマネ」などのように否定的な影響を与えると認めているが、他方では「友だちとの共通の話題になる」と肯定的な影響をも認めている。
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