本年度の研究活動は、以下の3点に分けられる。 ひとつは、ドイツの成人教育方法論をテーマとする学位論文をもとにして、『現代ドイツ成人教育方法論-成人の日常意識とアイデンティティ』を出版した(東海大学出版会、1995年1月、平成6年度文部省研究成果公開促進費)。この作業は前年度の奨励研究(A)の研究成果に位置づけられるものであり、また、男性問題学習というテーマに直接関連するわけではないが、その基礎理論構築としての意味をもっていた。 2点目は、わが国における男性問題学習の実践、さらには理論に関する資料収集である。都内を中心とする実践例の資料収集をすすめたほか、「男性セミナー」(東京都中野区、平成6年10月5日〜11月9日)や、「花婿学校」(日本青年館、平成6年6月5日〜12月4日)の事業には実際にチューターとして参加し、プログラムの作成から実施、評価にいたるまで作業にたずさわった。ただし、理論に関する資料はかならずしも十分になく、資料・文献の不足が明確になった。 3点目は、ドイツにおける男性問題学習実践と理論に関する資料収集につとめた。邦訳文献のほか、ドイツ語文献の収集をおこなった。来年度は、ドイツ人の男性問題学習(成人教育方法論もふくむ)関連文献の翻訳に着手したい。
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