本年度の研究は、第一に高等教育に対する公的助成必要の根拠と助成方法を理論的に明らかにすること、第二に、日本とアメリカにおいて公的助成がどのように行われてきたのかを考えるために、高等教育財政における諸々の指標の時系列的変化を図表化する作業を行うこと、の二点を中心に行う計画であった。 第一の高等教育に対する公的助成の根拠については、一般的には、外部経済の存在、育英、機会均等が考えられる。もちろんこれ以外の目的で助成が行われることもあるが、これら三つは正当化を得られ易い。本年度はまず外部経済を重点的に検討した。そこで外部経済の一つである教育の経済成長に対する貢献を考えた。 教育(特に高等教育)が、経済成長にどのように影響しているかを、アメリカを中心とした諸々の研究を参考にしながら考察した。この分野では、過去10年間に研究の方法論が格段に進歩したが、その方法論の検討をまとめることができた。また教育が経済成長に貢献するとしたらどのように資源を配分するのが効率的かを検討した。それによると、開発途上国では、職業教育より普通教育に、高等教育より初等中等教育に、投資するのが望ましい。 第二の日本とアメリカの高等教育関連データの図表化作業については、資料の収集、整理、パソコン入力中であり、来年度も引続き行う予定である。
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