平成7年度の研究は、日本において高等教育を通して所得再分配がどのように行われているかを、実証的に明らかにすることであった。総務庁の「家計調査報告書」のデータを用いて、所得五分位別租税負担率と所得五分位別高等教育進学率とを1974年から20年間にわたって計算した。その結果租税負担率と進学率とは、所得階級別にほぼ一致していることがわかった。その構造は、過去20年にわたって大きな変化がないこと、および1989年の消費税導入後も変わらないことが、確認できた。租税負担率と進学率とが所得階級間で一致しているからといって、これが平等であると判断することはできない。平等の基準が3つあるからである。コストベネッフィト基準によれば、一応平等ということになろう。しかし機会均等化基準からは決して平等とはいえない。
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