二度にわたって20歳以上の京都府日吉町住民を対象に地域スポーツ参加の実態と健康・体力に関する意識調査を行った(「地域スポーツの実施と健康・体力意識に関する住民調査」;平成6年度実施。「地域スポーツに関する住民意識調査」;平成7年度実施)。 これらの調査と調査結果の分析によって得られた知見には、1.a.一人で行うスポーツ、b.少人数で行うスポーツ、c.地域運動改、d.町・体育振興会等が行う催し、の4種の「地域スポーツ」参加の実態が若年齢層(20〜29才)、中年齢層(30〜39才)、高年齢層(60才以上)の順に多くなり、年齢層によって参加率に有意差がみられること(ただし、c.のみ中年齢層>高年齢層)、2.スポーツを行う施設や場所が近くにあり、指導を受ける機会に恵まれていることに有意に肯定傾向を示すのは高年齢層であること、3.したがって、日吉町における生涯スポーツ施策が高年齢層向けであることが推察されること、4.「地域スポーツ」参加者がスポーツを行うことによって自らの体力への自覚を深めており、スポーツ実施と体力自覚に関連があること、特に多数の人々とスポーツを行うことが体力を自覚する上で有効であること、5.住民のスポーツ参加に関する意識が3層に別れること、6.住民意識の違いは「地域スポーツ」参加の状況と関係すること、などがある。 なお、健康教育学の視点からは、「地域スポーツ」への参加が健康認識に関連することが示されたのであるが、「地域スポーツ」が参加者の健康への気づきを促すことにとどまらず、自らの身体(体力と健康)の主体として成長していくことをスポーツ参加者に保障するのかという点は今回の調査と分析では明らかにすることができなかった。調査方法の検討と分析モデルの開発を含め、今後の課題として残されている。
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