平成7年度はベーシック・エデュケーションの提唱者、マハトマ・ガンジ-の教育思想とその実践上の特質(教育内容、組織、運営など)の究明を継続しつつ、研究計画に従いガンジ-後の当該教育の受容、解釈、実際活動の多様性の究明に力点を移した。 この文脈においてビハ-ル、タミルナド、マハーラーシュトラの各州のその特色をかなり把握することができた。平成7年度の研究成果の一端は主に石附 実編「比較・国際教育学」 東信堂における「インド-独立への軌跡と現代」(pp.199-219)(平成8年3月 刊行予定 後記「図書」参照)に結実しているが、今後も様々の形を通し随時、公表するつもりである。 本研究の推進に当たり、本年度もまた国内の諸研究機関(国立国会図書館、国立教育研究所、アジア経済研究所など)を活用したが、平成8年1月には自費で約2週間、カ-シ-・ヴィドャピ-ト(マハトマ・ガンジ-によって1921年、国民大学として創設)のA. K. Pandey博士など、本研究分野の専門家との交流を深めまた関係資料の入手に努めた。今後の本研究の展開としては、反植民地教育であると共に、社会の底辺層のもつ抑圧された知識・技術を学校カリキュラムに反映する革命的意義を有する当該教育が、しだいに「仕事経験教育」へと転換していく実態と背景をも視野に入れた、全体的まとめを期している。
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