1.これまでに作成したSTS教育プログラムの試案に基づき、札幌市内の3小学校で研究授業を実施した。すなわち、小学校4年生を対象として、郷土史教育の一環とした教育プログラムを、先住民族であるアイヌ民族とその文化をテーマとして作成した。 また、博物館資料(実物)の活用を図る視点から、サケ皮を利用したクツ、弓矢、等を教材として使用した。 結果としては、札幌市住民の児童にとってサケが比較的身近な存在だったこともあり、(1)アイヌ民族はサケを食料として利用する以外にも、皮を生活用具として活用できる知恵を持っていたこと、(2)「神」という存在をとおして、自然と調和した生活を営んでいたこと、等について理解を深めることができ、この教育プログラムの有効性を確認することができた。 また、(3)実物を授業の中で提示することで多大な教育効果をあげることを確認することができるとともに、(4)博物館見学・利用と結合した学校教育の在り方についても方向付けることができた。 2.博物館が生涯学習に果たすべき役割について、とりわけ地域住民の自己教育・生涯学習に果たすべき役割について検討を行なった。その中で、学芸員の職務・労働・専門性について、社会教育労働としての特質(資料に関連した専門家・研究者であると同時に教育労働者である)を明らかにし、さらに地域住民主体の博物館運営について、地域生涯学習の視点から論点整理を行なった。
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