1.名古屋第二赤十字病院において週一回行われる小児科外来未熟児健診の場に参加し、出生体重1500g未満の極小未熟児、超未熟児の母子を対象とし、子どもの行動上の問題や母子関係の問題に対する心理治療的介入を行ってきた。治療的介入方法は、近年の乳幼児精神医学が提唱する母子治療の様式を範としており、それは主にSFraibergによる(1)発達ガイダンス・支持療法と(2)乳幼児・親精神療法である。これまでに70例の母子と面接を行ってきており、初回面接時の子どもの年齢範囲は3ケ月から4歳までである。これまでに面接を行った70例中48例(69%)に、子どもの行動あるいは母子関係上の何らかの問題が認められた。子どもの行動、情緒的問題および母子関係の障害は、おおまかに乳幼児と乳児期で問題の現れに違いが見られた。乳幼児期の問題行動としては、泣きのひどさ等のある種の過敏さが母親からの訴えとして認められ、これは初回面接時年齢8ケ月以下の乳児28例中8例(29%)に見られた。次に幼児期の子どもの問題としては、自閉症・発達遅滞・脳性麻痺あるいは軽い運動障害等の明らかな発達障害が認められた者以外に、癇癪やそっくり返り・頭つき・泣き叫び等、感情・衝動コントロールの悪さや、落ち着きのなさ・多動傾向・気分の変わりやすさ等が、生後7ケ月以上の子ども44例中27例(61%)に認められた。 2.名古屋第二赤十字病院NICUに1980年から1992年までの間に入院した1500g未満の極小未熟児161例を対象に精神発達に関する研究を行い、12ケ月時と24ケ月時で津守稲毛式発達検査で探索・操作と理解・言語の領域で遅れがみられることを明らかにした。
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