明治元年(1868年)以後の民族学関係報告書の情報資料の閲覧、収集、整理、分析をおこない、収集情報資料に関する文献情報データベース化を研究補助のもとにおこなった。 また、アイヌ文化復興運動に関連する各種の文化行事の観察、記載をおこない、その実態を把握した。これらには鮭の初漁儀礼、先祖供養(イチャルパ・シヌラッパ)等の伝統的儀礼をはじめ、アイヌ語教室、文化教室等の現代の文化活動が含まれた。同時に、アイヌの研究協力者を通じて文化変化の諸相、および文化復興運動の主観的意味について聞き取り調査をした。この研究の過程で、いわゆる観光アイヌ文化が現在の文化復興運動における重要な役割をはたしていることが明らかになった。 アイヌ文化の変化と文化復興運動を解明するという研究目的に対し、文献資料と実際の観察調査という研究計画・方法を通してその事態を理解するために十分な効果があったと考えられる。 また、研究遂行上にアイヌの文化復興運動とその受け手である一般の人々との間に新聞報道等のメディアが需要な役割をはたしていることが明らかになった。このため、現在、新聞記事の収集、整理、分析を進めている。
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