1.多民族国家中国の少数民族、特にウイグル族、カザフ族、シボ族等、北西中国における民族教育の実態を明らかにすることを目的に、中国少数民族に関する文献を収集した。各地の出版社から出ている文献は、過度に教条主義的なものや、統計的ではあっても実態理解が困難なものが多かったが、近年、ようやく客観的資料が現れ始めた。 2.新彊師範大学に新設された文化人類学研究所との研究連携を組むことが出来た。これは、従来からの双方の意志によるものであるが、今後も一層強化する方向で合意している。 3.中国側のカザフ族に関する資料収集は鋭意い推進しなければならないが、現時点では、まだ不十分である。 4.中国の少数民族政策は、時期的に揺れがあるという認識を得た。すなわち、(A)民族文化への柔軟政策と、(B)漢民族文化を押し出す強硬政策との間の揺れである。図式的に表現すれば、57年(A)→(B)、61年(B)→(A)、65年(A)→(B)、76年(B)→(A)、そして、現在は、比較的柔軟な民族政策が実施されている。 5.本学比較教育文化研究施設創立40周年記念国際シンポジウムにおいて、論文「中国少数民族の文化と教育の諸問題」を発表し、同記念論文集にこれを収めることが出来た。 6.本研究の成果を、中間報告として、ホノルルで開催される第48回「アジア研究学会」(Association for Asian Studies)で報告する。発表テーマ“The Role of Education in the Construction and Indigenization of the Kazakh and Xibe in Xinjiang: A Comparative Perspective"である。発表申し込みは受理されている。(4月14日発表予定)
|