1.本年度、われわれが主たる研究対象地とする中国新疆維吾爾自治区において、少数民族による反政府、反漢民族運動が起こり、中国少数民族問題の根の深さを示した。本研究の狙いとする中国における民族教育研究の意義を示していると言えよう。 2.本年度は本年度で最終年度となるが、民族教育と国民教育の関連性は、特に新疆維吾爾自治区に関して言えば、今後一層の緊張関係が予想される。 3.他民族社会としての中国の少数民族政策は、社会主義原理と文化的多様性の並存という複合性を今後も示すであろうが、維吾爾族、カザフ族等、いくつかの少数民族の場合、文化的遠心性と求心性の葛藤がさらに増大することが予想される。 4.この点に関しては、「文化のベクトル」として、最近報告論文として提出した。 (比較教育文化研究施設紀要・第49号)。 5.国境に住む少数民族文化の特徴として、国境の向こうの同民族からの影響を無視できない。本研究では、新生カザフスタンからのウイグル族、カザフ族の文化に関する文献を収集した。ロシア語、カザフ語については、翻訳を依頼した。 6.少数民族の音楽教育については、若干の資料があったが、今後の課題となった。 7.研究成果の一部をアジア研究会大会(ホノルル)で報告した。
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