1、史料の調査・収集 (1)東北地方の鉱山史料調査として、秋田藩領鉱山では院内銀山・大葛金山、南部藩領では尾去沢銅山・小坂銀山・仙台藩領では細倉鉛山に関する山法関係史料を、現地の鉱山資料館所蔵史料を中心に調査し、写真撮影による収集を進めた。 (2)九州地方の鉱山史料調査として、対馬藩領佐須銀山関係史料の収集のため長崎県立対馬歴史民族資料館所蔵の、宗家文庫を調査し、また九州大学九州文化史研究所所蔵の鉱山関係史料を調査し、写真撮影による収集を進めた。 2、今年度における研究上の知見等の成果 (1)近世において鉱業の盛んな東北地方の史料調査を中心に進めたが、鉱山法に関しても一定の成果を得ることができた。たとえば、これまで所在の確認できなかった南部藩領の「山法」を見い出し、また鉱夫間で流布した「山例五十三ケ条」の東北地方における広汎な存在とその内容の相違など検討すべき事実の確認、秋田藩領と南部藩領では鉱山法に共通点が多々あり、同じような構造をとっていたことが推定しえた。また対馬藩領鉱山や薩摩藩領鉱山でも制札が存在し、その内容などで秋田藩領鉱山との相違点などを確認できた。 (2)来年度は北陸地方や中国地方の鉱山史料の調査を実施し、鉱山法の地域的特色についても研究を進める。 3、研究発表等 秋田藩領鉱山の法構造について、上記のような今年度の研究で得られた知見等について、中間報告の形で東北近世史研究会冬季セミナーにおいて「近世における鉱山法」の題目で、その成果の一部を口頭で発表した。
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