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1994 年度 実績報告書

「所」の財政構造と展開過程

研究課題

研究課題/領域番号 06610317
研究機関愛知県立大学

研究代表者

梅村 喬  愛知県立大学, 文学部, 教授 (80092998)

キーワード所 / 所司 / 荘司 / 杣司 / 郷司 / 壮所 / 東大寺文書 / 在地所司
研究概要

今年は前々年に正倉院文書に含まれる、写経所や造営所の概要の整理を行ったのに続いて、平安時代における下級官司、「所」や「諸司」の広がりと具体的な機能を明らかにすることを目指した。まず、荘所の管理組織形態や荘園文書の独自的な役割を追及しようとしたが、各所に散在する、いわゆる「所司」の問題に逢着した。所司を律令用語の一般称として「政務や行事などの担当の官司」といった程度の意味に使われたが、時代がくだるにつれて、貴族の家経営や寺院、または在地において特定の意味内容をおびて使用されるようになり、古代から中世への過渡期に大きな歴史的意義をもつに至る。寺院所司など一定の究明が進んでいるものもあるが、在京及び在地の所司に関しては、一部、近年の長屋王邸木簡に現れた所司や、郷司や荘司に先行研究があるものの、必ずしも全容は解明されてない。現在の古代史研究の現状から見ても、これら所司の観点から総体を捉えることが、「所」の究明にも資するものと考えられる。
そこでまず研究の対象として、東大寺文書に豊富な事例を存する伊賀国玉瀧杣と黒田杣の歴史過程を扱い、在地で国衛領や荘領の経営に当たった杣司の検討を進めた。そして、同じ在地所司としての杣司であっても壮領ごとに組織形態の違いがあること。しかし、一方で経営主体が同じであるならば(この場合は東大寺)国を越えて類似の経営方法をとっていることも見られるなど相当複雑な実情が存在することが伺われた。とりあえず、荘司、郷司、杣司を始めとして保司、村司、厨司、封司、牧司、園司などの在地経営を担った在地所司を10世紀〜12世紀にかけて追及することとし、鋭意、史料の収集に努めてきた。なお、やや使いこなすのに手間どっているが、今期備えたコンピュータに今後データを入力し処理作業を急ぐことも目論んでいることも申し添えておきたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 梅村喬: "古代の王権と交流田 伊勢湾と古代の東海" 名著出版, 350 (1995)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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