1、昨年度に引き続き、本研究の対象とする日中・日朝関係研究文献の蒐集と文献目録のデータベース化を進めた。その結果、代表者(石井正敏)と協力者(川越泰博)が1976年に共同で出版した前著『日中・日朝関係研究文献目録』(国書刊行会刊)を大幅に贈訂することができた。今回の成果を加えた同書の増補版をできるだけ早い機会に出版したいと考えている。なお、データベース作成にあたっては、本研究費で購入したパソコンとソフト「桐」を利用した。同ソフトはキーワードを付しながらの作業が容易で、研究動向の分析にきわめて有用であった。 2、一方、上記の文献目録を基礎として、研究動向を把握するための分析視角について、代表者と協力者は、中朝関係研究者らの協力を求め、意見交換を重ねた。その結果、(1)国別(2)地域別(3)テーマ別の大きな柱に、さらに幾つかの小テーマを立てて分析を進めることとした。具体的な作業は、代表者は日本・渤海関係について、協力者は明と朝鮮との関係を中心に研究を進めたが、このほかの専門研究者にも協力を求め、現在それぞれのテーマにしたがって分析を行っている。 3、全体の見通しを立てるにはもうしばらく時間が必要であるが、研究史に一定の時期区分を可能にする興味深い結果が得られた。成果報告書に発表する予定である。今後は、日本と中国、日本と朝鮮といった大きなテーマから、日本・唐関係、日本・新羅関係、日本・明関係といった比較的小さなテーマ、あるいは政治・経済・文化などのような通時代的なテーマを組み合わせた視点からの研究動向の把握を課題としたい。
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