昨年度に引き続き、弥勒寺の支配下にあった九州各地の八幡宮の調査を行なった。本年度は箱崎八幡宮(福岡市)、藤崎八幡宮(熊本市)、宮崎県北部の八幡宮の調査を行ない、併せて大分県内の弥勒寺領の寺、妙覚寺、藤尾寺、宝満寺、永興妙法寺などの調査も実施した。これで、鹿児島県を除く、九州内の主な弥勒寺領寺院神社の調査はほぼ終了した。また、東京大学史料編學所において、弥勒寺関連の史料の調査を行なった。 研究としては、先ず中世の弥勒寺の研究の前提となる奈良時代の八幡神の政治上の位置付けを明らかにする論考を発表した。また、昨年石清水八幡宮の調査で得ることのできた「宇佐年中行事」(鎌倉時代の弥勒寺の年中行事を記した書類)の諸写本の検討を通じて、弥勒寺の年中行事の実態を明らかにした。現在この年中行事『託宣集』などを使い、宇佐宮の放生会の行事の分析を行った論文を執筆中である。
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